脱毛症にはさまざまな種類があります。一般的によく知られているのが、男性型脱毛症=AGAです。AGAには、フィナステリド、ミノキシジルといった薬が、高い効果を発揮することがわかっています。一方で、女性型脱毛症にはミノキシジルの外用以外には、特効薬と呼べるものがありませんでした。男性型脱毛症に比べ、圧倒的に治療の幅が狭かったのです。

しかしいま、その状況が変わろうとしています。エレクトロポレーション技術が、女性の脱毛症に効果を生むことがわかったのです。エレクトロポレーションとはどんな技術なのでしょうか?

「特殊な電気の力で皮膚表面に一時的に隙間をあけ、大きな分子を角質層まで浸透させることができます。つまり、エレクトロポレーションを使えば、細胞成長因子などの育毛に効果的な成分を頭皮のなかに入れることができ、ヘアサイクルに作用させることが期待できます」

エレクトロポレーションをはじめ、近年では脱毛治療に有効な治療法が次々に生まれています。治療の選択肢が、一昔前に比べ、格段に増えているのです。あるとき、交通事故で髪を失った女性が倉田先生を訪ねてきました。髪がないことが原因で、人前に出ることが苦痛だという彼女に倉田先生は、フラップ法という植毛手術で、髪を一部修復させることを提案しました。

「手術で再生した髪に、さらにウィッグを装着したことで、とても自然なヘアスタイルに仕上げることができました。趣味のスポーツに復帰した彼女が『人生を取り戻しました』といっていたときの笑顔は、すごく素敵でしたね」
患者さんが自分らしく生きられることが何より嬉しいと倉田先生はいいます。

「男性型脱毛症でも、女性型脱毛症でも、原因や症状によりいろいろな治療法が考えられます。エレクトロポレーションは、飲み薬や塗り薬、赤色LEDなどと併用することが可能だったりと、組み合わせることもできます。脱毛して悲観する必要はありません。自分にあった治療法はきっと見つかるはずです」


倉田荘太郎先生
医療法人 別府ガーデンヒルクリニック くらた医院 院長。
日本臨床毛髪学会常任理事。アデランスメディカルアドバイザーとして、
アデランスとの共同研究にも尽力している

取材・文/中村未来 撮影/富本真之