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乾准教授インタビュー: 赤色ナローバンドLED光が髪を育てる Vol.1

「髪は、赤色ナローバンドLEDの光で育ちます」
最新育毛療法としてのLEDを活用が注目を集めている。育毛とLEDの関係を科学的に解明しようとこの研究の最前線にたっている乾准教授に、その「LEDの力」とは、果たしてどのようなものなのかを日本臨床毛髪学会理事 乾 重樹 准教授へ聞いた。



大阪大学大学院医学系研究科 皮膚・毛髪再生医学寄付講座准教授
日本臨床毛髪学会理事 乾 重樹 准教授

LEDを髪に当てるという光治療の発想は斬新

Q :LEDの光が髪にもよいというのは驚きですが、どういったきっかけから研究が始まったのでしょうか。

A :2008年に新大阪で美容クリニックをされている小笠原 正弘先生の講演を、日本美容皮膚科学会の会場で聞いたのがきっかけでした。むろん皮膚科分野での光の応用は一般的なもので、例えば、紫外線やレーザー光による皮膚治療はすでに存在しています。

皮膚科に限らず、高レベルレーザーはその熱で疾病部分の細胞を破壊する治療に使われていますし、低レベルレーザーには血行を促進させるなど生体を活性化する効果があることはよく知られていました。

また、傷を治したり、皮膚の色素沈着を取り除いたりする分野でLEDによる皮膚治療も一定の効果があるという報告はすでにされていました。
とはいえ、レーザー光ではなく、それよりエネルギー量の小さなLED光を使い、しかもそれを毛髪にも応用するというのは、私が知る限り小笠原先生の発表が初めてです。その発表を聞き、強い興味をもったことを思い出します。

ともあれ臨床ベースで一定の効果が出ているのは確かで、ただその基礎的なメカニズムがまだわからない。そこで小笠原先生と私の共同研究という形で、実験を行うことになったのです。


Q :ナローバンドの赤色LEDを採用したのはどういう理由からですか。

A :毛乳頭細胞が、毛の成長において重要な働きを示します。波長の長い赤色光が、毛乳頭のような皮下の深いところに届かせるにはよいだろうということで、最初から赤色LED光を使いました。

ただ、一口にLEDといっても、家庭用の照明器具は、使われている光が互いに干渉しあうため、実験や治療には不向きです。
そこで、実験には光をフィルターに通して、波長の幅が狭く、かつそれが揃った純粋な赤色LED光だけを作ることができる装置を使いました。これがナローバンド赤色LEDです。

インタビュー・文/広重 隆樹 撮影/圷 邦信


乾准教授インタビュー
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初回記事公開日 :  2016年5月13日