乾准教授インタビュー: 赤色ナローバンドLED光が髪を育てる Vol.3

2019年7月8日

赤色ナローバンドLED光は安全性が高く、装置も簡単というメリット
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大阪大学大学院医学系研究科 皮膚・毛髪再生医学寄付講座准教授
日本臨床毛髪学会理事 乾 重樹 准教授



●人体に大量の光を長時間患部に当てることによる副作用はないのでしょうか。


乾氏: 脱毛治療に使うレーザー光はエネルギー量が高く患部が熱を帯びます。私自身、脱毛レーザーを体験しましたが、あれは痛いですね。


紫外線による皮膚治療も量が多いと日焼けし、ひどいときは水ぶくれも生じます。 その点、赤色LEDはほんのりと肌が温かくなる程度。日焼けや火傷の心配はありません。この安全性が、レーザーや紫外線を上回る赤色LEDの最大のメリットだと思います。また、赤色LEDはレーザー装置のような大がかりな仕組みが不要で、装置自体をかなり小型化することが可能です。作られた試作機の中には、持ち運んで自宅でも処方できるタイプのものもあります。いずれは、懐中電灯のような、ハンディ・タイプの機器も開発されるのではないかと期待しています。


●今後の研究の方向性についてお聞かせください。


LED自体の技術革新にまず期待しています。波長の幅を狭くしつつエネルギー量を高めることができれば、より高い効果が期待できます。一方、毛乳頭細胞で起こっている毛成長のメカニズムも、これからの研究で、より詳しく分かってくるでしょう。私たちの報告は、皮膚科の先生たちにとどまらず、世界中のレーザー医学の研究者やレーザー治療の医師たちからも注目されています。




インタビュー・文/広重 隆樹 撮影/圷 邦信



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記事初回公開日: 2016年5月27日

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