禁酒は薄毛の予防効果あり? アルコールによる髪の抜け毛・薄毛の仕組み

2020年3月19日

目次:

■アルコールは薄毛の原因?

■アルコールと髪の関係性

■禁酒は髪に効果があるのか?

■禁酒によるストレスは髪に影響する?

■適量を守って健康的にお酒を飲もう

■慢性的な飲酒は脱毛を促進させる

■お酒と上手に付き合おう



仕事終わりのビールや友人と飲むお酒を楽しみにしている人も多いものの、アルコールは薄毛の原因になるとよく言われています。実際に髪にはどのような影響があるのでしょう。お酒をよく飲んでいる人が禁酒すると、薄毛予防になるのでしょうか?

また、慢性的な飲酒は脱毛を促進させることもあるようです。お酒と上手に付き合いながら、薄毛にならない方法はあるのか探っていきましょう。


■アルコールは薄毛の原因?

仕事終わりのビールや、友人と飲むお酒を楽しみにしている人も多いでしょう。また、職場によっては、酒を飲むのも仕事のうちと考えているかもしれません。


昔から「酒は百薬の長」と呼ばれ、適量のお酒はどんな良薬にも勝るとされています。ほどほどの量であれば気分が陽気になり、ストレスの解消になったり、血液の循環が良くなったりします。心身がリラックスするので、緊張をほぐしてくれる効果に助けられることもあるでしょう。


一方で「酒は万病の元」とも呼ばれていて、飲酒量の多い人は中性脂肪やLDLコレステロールの増加、HDLコレステロールの低下に繋がり、がんや脳梗塞などの発症リスクが高くなります。また、飲み過ぎにより、いろいろな臓器に病気が起こり、中でも肝臓には脂肪肝など機能に影響が出やすくなります。


飲み方次第で毒にも薬にもなるお酒。その中で髪の毛に関しては、アルコールが薄毛の原因になるとよく言われています。ただ、シャンプーや育毛剤にはよくアルコール(エタノール)が入っていることもあり、肌に付けるのと飲むのとで髪に対して真逆の反応となることに不思議と思うかもしれません。


では、実際にアルコールを摂取することで髪にはどのような影響があるのでしょうか?


■アルコールと髪の関係性

アルコールが及ぼす髪の直接的な影響としては、アセトアルデヒドと呼ばれる物質が関わってきます。


この物質は、お酒を飲んだときにアルコールが肝臓で分解されてできる物質だといわれています。飲酒で顔が赤くなったり、動悸が激しくなったり、また、頭痛・吐き気などの症状の原因となるものです。血液中の栄養や酵素を押しのけてしまう性質を持つため、頭皮や毛髪に栄養が行き渡らなくなる可能性があります。


さらに、お酒を飲んで顔が紅潮することで頭皮が脂ぎったり、頭がかゆくなって触り心地がベタベタしたりする人には、頭皮環境に悪影響を及ぼすこともあります。


■禁酒は髪に効果があるのか?

では、禁酒をすれば髪に影響は現れるのでしょうか?お酒を飲まなければアセトアルデヒドの摂取は抑えられるため、悪影響は避けられそうです。


さらに、お酒は食欲を増進させるため、おつまみとして食べていた味付けの濃い物や動物脂肪性の多い食事が避けられ、お漬物などに多い塩分や唐揚げなどの油の多い物による脂肪の摂り過ぎ、カロリーオーバーを防止できるため、結果として体重の減少になることもあるでしょう。


また、お酒を飲まなくなることで睡眠の質の変化も期待できるため、生活改善による二次的な効果が出てくるでしょう。


ただし、髪の健康を考える人は禁酒するべきとも言い切れません。好きなお酒を無理にやめてしまうことで、ストレスがたまってしまうかもしれないためです。


■禁酒によるストレスは髪に影響する?

禁酒によりストレスを感じることで自律神経に乱れが生じたり、筋肉が緊張して血管の収縮を引き起こしたりするため、血流が減少して次第に血行が悪くなっていきます。また、自律神経の乱れは内蔵機能の低下にも繋がります。食欲不振で消化不良になり、食欲が減退してしくと、栄養摂取にも影響が出るでしょう。


さらに、強いストレスを感じると、脳下垂体からホルモンの分泌量を減らす指令が出るため、ホルモンバランスが乱れる要因にもなります。私たちの毛髪を作っている毛母細胞は、毛乳頭と呼ばれる部分が毛細血管から栄養を受け取り、活動しています。髪が一度抜けても再び髪が生えてくるのは、この活動が正常におこなわれているからです。


ストレスで自律神経が緊張し、血管の収縮が起こると、細胞(毛乳頭)に十分な栄養を送ることができなくなってしまいます。髪に栄養が行き渡らなくなると、抜け毛が増えたり新たに生えてくる毛髪が弱くなったりするため、薄毛の原因となるわけです。


毛髪の成長には男性ホルモンの存在が大きく関与しているため、ストレスによりホルモンバランスが崩れることで、薄毛が進行してしまう可能性もあると言われています。


ストレスの原因になるもののことを、ストレッサーと呼びます。学校や職場での人間関係、将来への不安、仕事の成果やノルマ達成に関する圧力、恋人からの結婚に対するプレッシャーなどなど、私たちはさまざまなストレッサーに囲まれて生活しています。


現代社会ではストレスを避け、まったくストレスを感じない生活を送ることはほぼ不可能です。そのためストレスは溜め込まず、発散するよう心がけることが大切となります。ストレスと上手く付き合うことができれば、体への影響も最小限にとどめることができるはずです。


■適量を守って健康的にお酒を飲もう

お酒は髪に良い影響を与えるものではありませんが、ストレス解消を目的として「適量」を飲む程度なら問題はないでしょう。ただし、酔っ払うか酔っ払わないかを目安に適量を決めるわけにはいきません。体質や習慣によって、アルコールに対する耐性は人それぞれ違うからです。


お酒に弱い人はコップ1杯のビールで顔が赤くなったり、動悸が激しくなったりします。「フラッシング反応」と呼ばれ、アセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱い人に多くみられます。


一方で、ボトル1本あけても顔色ひとつ変わらない人もいます。たとえ顔色が変わらなくても、体内に入るアルコールの絶対比は多いわけですから、「これが自分の適量だ」と決めつけてしまうのは危険です。


厚生労働省が健康増進法に基づき策定した基本方針「健康日本21」の中でみてみると、「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては『節度ある適度な飲酒』として、1日平均純アルコールで約20g程度である」(※1)と定義していることがわかります。


純アルコールで20gとは、ビール(アルコール度数5%)なら中瓶1本(500mL)、日本酒(15%)なら1合(180mL)、ウイスキー(43%)ならダブルでグラス1杯(60mL)、ワイン(12%)ならグラス2杯(200mL)が目安となります。


アルコールの体に対する影響は、飲んだお酒の量ではなく、摂取した純アルコール量が基準となります。純アルコール量で比較すれば、お酒の種類や濃さに関わらず、体への影響が推測できます。


■慢性的な飲酒は脱毛を促進させる

いくら適量を守ってお酒を飲んでいても、毎日慢性的に飲み続けると皮脂腺が活発化して、男性ホルモンの還元酵素である5α-リダクターゼが大量に生成されやすくなります。この物質は男性ホルモンの一種であるテストステロンを、ヘアサイクルを狂わせるジヒドロテストステロン(5α-DHT)に変質させ、脱毛を促進させる働きを持っています。


大切なのは、週に1日か2日は必ず休肝日を作ることです。毎日飲み続けているとアルコール中毒になる可能性がありますし、肝臓への負担も大きくなります。アルコール性の肝障害としては、脂肪肝やアルコール性肝硬変、アルコール性肝炎などが挙げられ、内臓疾患にかかるようなお酒の飲み方は、当然髪にも悪い影響を与えます。


また、お酒のカロリーは、アルコール度数が高い物ほど高くなります。


頭皮の下にある皮脂腺から分泌される皮脂の量は、頭皮を健康に保つためにとても重要な役割を果たしています。しかし、脂肪やカロリーを取り過ぎると皮脂の分泌が異常に多くなり、脂漏性脱毛の原因になるのです。


ダイエットを意識する人でなくても、缶ビール1本がご飯1杯分に相当すると考えて、カロリーオーバーに気をつけたいところです。


喫煙者の場合、飲酒をすることで間接的に脱毛促進に繋がる可能性として、飲んでいるときのタバコの本数が増えるのも要注意です。タバコに含まれるニコチンの中に血管を収縮させる作用があり、血行が悪くなって、髪に栄養が行き届かなくなるため、毛髪が発育不全を起こしやすくなります。


■お酒と上手に付き合おう

薄毛は遺伝だけの問題ではなく、生活習慣などの影響や関係性など、さまざまな要因が考えられます。中でもアルコールによる薄毛の影響は少なくはないようです。


しかし、アルコール依存症の人がみんな薄毛になっているわけではありません。飲酒することを余計に心配する必要はないでしょう。


お酒をガマンすることがその人のストレスになるくらいなら飲んだ方がずっと良いはずです。体だけでなくココロも健康で過ごすことで、髪にも良い効果が生まれるでしょう。


くれぐれも、度を超えて飲んでしまったり、休肝日を作らなかったりすることのないように、お酒と上手に付き合いたいですね。


参考文献
※1)厚生労働省ウェブサイト. 健康日本21(閲覧日2020年3月5日)



初回記事公開日:2015年11月25日

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