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体質が似ているのに、抜け毛が多い人と少ない人がいるように思います。この差は一体何でしょうか。その違いは「ライフスタイル」と「ヘアケアの仕方」にあると考えられます。
偏った食事や運動不足が健康に悪いのと同じように、頭皮や髪へ悪影響を及ぼす習慣は日々の暮らしに多くあるとされています。この記事では生活習慣、食べ物、ヘアケア別に、頭皮と髪に悪いことを13例ご紹介します。抜け毛で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.頭皮と髪の毛の関係性について
「健康な髪は健康な頭皮から生まれる」と言われるほど、頭皮と髪の毛は密接した関係にあります。つまり、髪の毛の健康は、頭皮の健康から考えることが重要といわれています。
髪の毛は、頭皮内部の毛根にある毛母細胞から作られます。毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで、髪の毛が成長する仕組みです。毛母細胞が活発に細胞分裂をするためには、毛根に繋がっている毛細血管からの栄養が必要不可欠といえるでしょう。
髪は数年間伸び続けた後にしばらく成長を止め、やがて抜毛となって次の髪が伸び始めます。これをヘアサイクルと呼びます。
髪が抜けて薄毛になる原因として、体内の男性ホルモンが特定の酵素の影響を受け、髪の成長を抑制してしまう「男性型」あるいは「女性型」と呼ばれる脱毛が知られており、薄毛の要因の多くを占めています。
しかしそれ以外の体に対する内的、外的な要因も、髪の成長に影響を与えるものと考えられているでしょう。
血流に乗って多くの栄養が毛根に運ばれてくることが、髪の成長とヘアサイクルを正しく維持するために重要です。逆に体の血行が悪く、頭皮に栄養が不足すると細く抜けやすい毛になることが心配されます。髪の毛の悩みを改善したいときは、「頭皮に悪影響となるものが何か」という視点で考えましょう。
2.生活習慣で頭皮と髪に悪いこと3選
まずは、日々の生活に潜む頭皮と髪に悪い習慣を確認しましょう。普段感じている身体的・精神的不調の原因は、実は頭皮や髪にも悪影響を与えているかもしれません。生活習慣の分野では、以下の3点が悪影響と考えられます。
2.1 ストレスの溜めすぎ
ストレスを解消できずに、溜め込んでいる人は要注意です。ストレスが要因となり体に不調が出るように、頭皮の状態も悪くなる恐れがあります。
仕事だったり家庭内のことだったり、無意識のうちに毎日何かしらのストレスを受けているかもしれません。ストレスを完全に避けることは困難ですが、自分なりの解消方法を知ることが大切です。寝ること、趣味に没頭すること、友人と話すことなど、解消方法を実践してストレスを溜め込まないようにしましょう。
2.2 タバコの吸いすぎ
タバコの吸いすぎも頭皮や髪の毛に悪い習慣と言えます。頭皮に栄養を送るためには、毛細血管まで血行を良くすることが大切です。しかし、タバコを吸うとニコチンが体内で血管を収縮させるため、体全体の血行不良を引き起こすといわれています。
タバコは活性酸素を増加させ、頭皮に限らず体の老化も促す心配があります。健康を害するタバコは、頭皮や髪の毛に対する悪影響の観点からもおすすめできません。この機会に、無理のないようタバコの本数を減らすといいでしょう。
2.3 睡眠不足が続いている
睡眠不足が続くと体が十分に休まらず、さまざまなダメージが蓄積します。そのような状態では体のエネルギー代謝が低下するといわれています。頭皮や髪の毛は生きていくための必須器官としてエネルギー供給の優先順位が低いため、髪の成長に必要な栄養を補いにくい状態になる懸念があります。
また、肌と同様髪も深夜に安静にしているため、できれば睡眠をとっていることが、髪の成長には好ましいとされています。
夜更かしは控え、睡眠時間をしっかり確保し、毎朝できるだけ同じ時間に起きることが大切です。髪の毛だけではなく、体のためにも睡眠不足にならないようにしましょう。
3.食生活で頭皮と髪に悪いこと6選
食生活が不規則だと、発毛に必要な栄養素が補いにくくなります。髪に悩みを抱えていて、食生活が不規則だという人は、普段の食事が要因かもしれません。具体的にどのような栄養素が頭皮や髪の毛に影響があるのか、以下の6点を確認してみましょう。
3.1 糖分の摂りすぎ
糖分を摂りすぎると、血糖値の高い状態が続き、血行不良を招く可能性があります。血行が悪くなると毛根に栄養が届かず、髪の成長に影響を及ぼすことが考えられます。お菓子やデザート、炭水化物などの過剰摂取に気をつけて、糖分を摂りすぎないように注意しましょう。
3.2 タンパク質が不足・過剰
タンパク質は筋肉、内臓、皮膚、血液、骨、爪、髪の毛など人間の体を作るための要素といわれています。髪の主成分はアミノ酸で、タンパク質が分解されたものです。
現代の日本では、普段の食生活でタンパク質が不足しがちな人が増えているようです。卵、肉や魚、大豆などの良質なタンパク質(アミノ酸)を含む食品を意識して摂取することは大切です。筋トレの必需品として知られるプロティンもタンパク質になります。
食事の不足を補う代用としてプロティンを飲むことも考えられますが、プロテインの過剰摂取はカロリーオーバーとなり肥満につながるため、適量に摂取することを心がけましょう。
3.3 脂質が高い食べ物ばかり食べている
外食するとついつい、揚げ物など脂質の高い食べ物に偏りがちです。脂質を摂りすぎると肥満だけでなく、皮脂線が発達し皮脂の過剰分泌を促す恐れがあります。過剰な皮脂は特に頭皮に残留すると、毛根が弱ったり毛穴が塞がったりして、髪の成長に影響を及ぼす要因になりかねません。
外食時でも脂質の他にサラダなどを摂るようにして、栄養バランスの偏りに注意しましょう。
3.4 亜鉛と鉄分が不足しがちな食事が多い
亜鉛や鉄分は、髪の毛の成長に必要不可欠な栄養素です。どちらも不足すると毛周期が乱れ、抜け毛や白髪の要因になりえます。亜鉛は毛母細胞の細胞分裂の促進、鉄分は毛母細胞へ栄養を届ける血液中のヘモグロビンを生成する成分だからといわれています。
亜鉛と鉄分は納豆、イワシ、牡蠣、レバーなどから摂取できますが、普段の食事では不足しがちな栄養素といえます。亜鉛と鉄分が含まれる食事を意識して取り入れてみましょう。とはいえ、こちらも過剰摂取にならないようバランスを考慮することも必要です。
3.5 ビタミンAの不足・摂りすぎ
ビタミンAも不足しがちな栄養素です。新陳謝代謝に関与し、頭皮の乾燥やフケ、かゆみを防ぐと考えられています。頭皮環境を整える役割を持つため、にんじんやかぼちゃといった緑黄色野菜から摂取することをおすすめします。
ただし、サプリなどでビタミンAを多量に摂りすぎると中毒症状が出る恐れがあります。頭皮の乾燥や脱毛だけではなく、頭痛や食欲不振など不調の要因となるため、過剰摂取に注意しましょう。通常の食事だけでは、ビタミンAを過剰摂取することはないといわれています。
3.6 高AGE食
AGEとは聞きなれない言葉かもしれませんが、酸化と並ぶ体の老化要因として注目され始めている「糖化」と関係が深いものです。
「糖化」は体内で余った糖とタンパク質が結びつき、体温で温められ続けることで起こる現象で、「酸化」が体のサビと言われるように、「糖化」は体のコゲと呼ばれます。この糖化が促進すると「AGE(終末糖化産物)」が生成されて体内に蓄積し、外見を含む老化や様々な病気の要因ともなりえます。
このAGEが毛根付近に蓄積することで毛髪の成長にも影響を及ぼすことが研究*1でも報告されています。
AGEは食品にも含まれていることがあり、高AGE食は体の糖化を促すことが懸念されますが、これは基本的なこととして調理法や味付けに左右されるところが大きく、『肉や魚、チーズなどたんぱく質の多い食材は、「焼く・揚げる」などの高温調理で食品中のAGE量が増えやすい。老化を防ぐには、できるだけ「ゆでる・蒸す・生」がお薦め』と言われます。
また、加工食品もAGEが含まれることが多く、糖分を多く含む菓子類も取りすぎないように意識しましょう。
AGEは現段階では体外に排出する方法が確立されておらず、生成されると体内に蓄積していく一方です。味付けにはレモンや酢を活用、そして緑黄色野菜を多めにした食事で、エイジングケアを実践しましょう。
4.ヘアケアで頭皮と髪に悪いこと4選
頭皮や髪に悪いこととして、毎日のシャンプーやドライヤーなどの外的要因が挙げられます。普段何気なく行っているヘアケアが、実は頭皮や髪にダメージを与えているかもしれないのです。生活の中に潜んでいる、注意すべき4つの点を確認しておきましょう。
4.1 過度のドライヤー
シャンプー後の濡れている髪は、キューティクルが開き摩擦で傷つきやすい状態といえるでしょう。そのため、ドライヤーで手早く丁寧に乾かしましょう。ドライヤーは使い方によっては美髪にも役立つのですが、一方で髪にダメージを与える可能性もありますので、使い方のポイントは押さえておきたいところです。
ドライヤー前にタオルドライを行い、ドライヤーで髪を乾かす時間を短くしましょう。ドライヤーの吹き出し口付近はとても高温になるものもあるため、髪から15~20cmほど離し、同じところに当てすぎないようにするのがポイントです。
また、ドライヤーを使う際、髪表面を保護するヘアオイルやスタイリングローション、アウトバストリートメントなどを塗ると熱ダメージが抑えられるのでおすすめです。しかし、つけすぎると髪のべたつきが気になることもあるので、使用方法をよく確認しましょう。
4.2 紫外線対策をしていない
紫外線を浴びるとシミ、シワなど肌が老化する要因になるのと同様に、頭皮や髪にとっても紫外線は大敵です。特に夏に多いと思われがちですが、実は紫外線は年間を通じて降り注いでいます。
手軽な対策としては帽子や日傘で、頭皮と髪を守りましょう。最近は、髪や頭皮に使えるスプレータイプの日焼け止めも市販されているので、併せて活用するのがおすすめです。
4.3 髪の毛を縛るのがきつすぎる
髪が長い人は、普段から縛ることも多いでしょう。ですが縛るのがきつすぎて、それを長期間続けている場合、髪と頭皮が引っ張られてダメージを受ける恐れがあります。髪をほどき、マッサージで頭皮をほぐす時間を日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
4.4 シャンプーを正しくできていない・育毛ケアで頭皮復活!
シャンプー剤が髪に合っていなかったり、正しく頭皮を洗えていなかったりと、シャンプーの使い方によっても頭皮や髪の毛がダメージを受けるケースがあります。毎日のシャンプーが正しくできていない場合、ダメージが蓄積され、抜け毛の原因となっているかもしれません。
シャンプー前にお湯で髪をよくすすぐことから始まり、シャンプーはよく泡立てて、1度目は髪を、2度目は頭皮を洗うようにする2度洗いがおすすめです。シャンプーの洗浄成分が残らないよう十分にすすぎ、コンディショナーもよくすすぎましょう。
今はダメージケア向き、脂性向きなど髪や頭皮のタイプに合わせて選べるものも増えてきており、自分に合ったシャンプー選びができます。毎日するからこそシャンプーは頭皮や髪の毛にとって重要です。自分に合っているシャンプーで、正しく頭皮と髪の毛を洗いましょう。
ここまでの記事でいくつか思い当たる、または少し気になる方は育毛から始めてみませんか。お客様の髪の状態やご希望にあった選べるコースで3つのヘアサポートが体験できる「ヘアリプロ」。ご自宅で育毛・発毛ケアできるホームコースもあります。
5.肌に悪いことは髪にも悪い
頭皮や髪の毛に悪いことを13例ご紹介しました。簡単に内容をまとめると、「体に良いことは髪にも良い、体に悪いことは髪にも悪い」ということになります。頭皮も髪の毛も体の一部なので当然ですが、その当然を忘れてしまい、抜け毛で悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
体に良いことが髪に良いのなら、髪のためにするべきことが分かるでしょう。適切な食生活、適度な運動、ストレス解消と十分な心身の休息。暴飲暴食やタバコの吸いすぎに注意して、規則正しい生活を心がけることで、抜け毛の心配が減るかもしれません。
ぜひ今日から、頭皮と髪の毛のために悪影響となる習慣を減らす努力をしてみましょう。
*1 :Miyata M, Mifude C, Matsui T, et al: Advanced glycation end-products inhibit mesenchymal-epidermal interaction by up-regulating proinflammatory cytokines in hair follicles. Eur J Dermatol 25:359-361, 2015
記事初回公開日:2016年3月7日