円形脱毛症の原因はストレスだけではない!?種類とメカニズムから予防・対策方法まで

2019年6月11日

目次:

■そもそも円形脱毛症とはどんな症状?

■ストレスだけではない!円形脱毛症の原因

■自己免疫の異常

■交感神経の異常(ストレス)

■ホルモン分泌の変化

■円形脱毛症の予防法と発症してしまったときの対策

■ストレスと脱毛の関係とは?

■まとめ


円形脱毛症の原因はストレスだと聞いたことがあるかもしれませんが、実際のところ真の要因の特定は困難とされています。ストレスはきっかけで、自己免疫や遺伝、ホルモンなど複数の要因があるとされ、脱毛の種類や症状も様々です。遺伝による体質も大きく影響するとされています。ただし、その原因は特定しがたいものでも治療方法はわかってきているので、できるだけ正しい対策をとりましょう。

■そもそも円形脱毛症とはどんな症状?


円形脱毛症とはその名の通り、円形や楕円形に頭髪が抜けてしまう脱毛症のことです。初期症状として、前触れもなく、ある日突然、頭髪の一部分がまとまって抜けはじめます。


症状が進行すると、脱毛範囲が徐々に拡大していき、朝起きて枕を見ると抜け毛が多数見つかったりすることも。比較的ゆっくりと抜け毛が進行するAGA(男性型脱毛症)と比べて、進行するスピードが速いのも円形脱毛症の特徴です。また、特に発症しやすい年齢や属性があるわけではなく、男女ともに発症する可能性があります。


円形脱毛症にはいくつかの種類があり、代表的なものに以下のようなものがあります。


  • 単発型の円形脱毛症
    円形、もしくは楕円形の脱毛が1ヶ所に起きる。大きさはまちまちで中には自分で気づかないうちに自然に改善することもあるが、人によっては脱毛範囲が拡大したり、多発型になることも。

  • 多発型の円形脱毛症
    2ヶ所以上に円形、もしくは楕円形の脱毛が起きる。単発型よりも自然に回復しにくいとされる。

  • 蛇行型の円形脱毛症
    後頭部、側頭部、生え際に帯状の脱毛が起きる。

  • 全頭型の円形脱毛症
    多発性円形脱毛症が頭部全体に拡大し、脱毛部分が重なることで頭髪がすべて抜けてしまう症状。

  • 汎発型の円形脱毛症
    頭髪だけではなく、まつげや眉毛、その他の体毛にまで脱毛が起きる。


■ストレスだけではない!円形脱毛症の原因


こうした円形脱毛症はなぜ発症するのでしょうか?そのメカニズムの全貌は未だすべては解明されておらず、様々な説があります。中には予防可能なものもあるので、理解を深めましょう。


■自己免疫の異常


脱毛症の原因が解明されていない中でも、もっとも有力とされていて、他の要因(きっかけ)にも共通して発生しているのが自己免疫の異常というものです。私たちには病原体や、細菌などから身体を守るための免疫機能というものが備わっています。外部から異質なものが体内に侵入すると、撃退しようと免疫機能が抵抗するのですが、何らかの異常によって自分自身の細胞を敵だと誤認してしまうことがあります。異物とみなされてしまった毛根の細胞がダメージを受け、毛が抜け落ちてしまうわけです。


■交感神経の異常(ストレス)


交感神経の異常説では、日常生活におけるストレスが円形脱毛症を誘発すると考えられ、ストレスを受けると交感神経の働きが活性化するといわれています。この交感神経の働きは、過度なストレスやストレスの長期化によって、異常をきたすことがあるのです。交感神経の異常が血管の収縮をもたらし、結果として毛根に栄養がいきわたらなくなって脱毛が起きるという仕組みです。また、ストレスは自己免疫の異常にも影響を与えると考えられています。


■ホルモン分泌の変化


出産後のホルモン分泌の変化も場合によっては円形脱毛症の原因になる可能性があります。女性ホルモンには発毛を促す作用がありますが、分泌量が減少することで逆に抜け毛が増えることも。特に出産後は女性ホルモンの分泌量が減るため、抜け毛に悩まされる「分娩後の脱毛」となる女性が少なくありません。そのうちのいくつかのケースでは円形脱毛症になってしまうことあるのですが、出産におけるストレスでの円形脱毛症と分娩後の脱毛は、分けて考える必要があります。


■円形脱毛症の予防法と発症してしまったときの対策


円形脱毛症を発症しないための予防法としてどのようなことが考えられるでしょうか。直接の原因とは言い切れないまでも、ストレスの軽減は予防につながるかもしれません。自覚症状がないからこそ予防するにこしたことはありません。


  • 適度な運動
    適度な運動はストレス解消につながります。進学や就職・転職による新しい環境で受けるストレスや、人間関係の悩みは自覚がなくても、心と身体に負担を蓄積させていきます。規則正しい生活を送りながら、ときには運動や趣味を通じてストレスを発散することはとても重要です。

  • 頭皮マッサージ
    頭皮マッサージはリラックスをもたらすだけでなく、頭皮の血行促進にもなるためオススメです。おすすめの頭皮マッサージの方法はこちら

  • 体質のチェック
    円形脱毛症になる要素の一つとして、遺伝からなる体質が関連していることがわかってきています。それを血液検査で調べることも可能ですが、体質に関連する遺伝子が検査で見つからなければ確実に円形脱毛症にならないとは言い切れません。また、見つかったからといって将来的に円形脱毛症になるとも限らないため、検査結果は参考程度に受け止めるのがよいでしょう。他にも、検査には高額な料金がかかるといったデメリットもあるため、すべての方におすすめできるものとは言えないかもしれません。
    では、もし円形脱毛症を発症してしまった場合はどうすればいいのでしょう。症状の進行を防ぐために取れる対策を紹介します。

  • 病院での治療
    軽度の円形脱毛症は自然に治癒する傾向にありますが、放置することで多発性円形脱毛症や全頭円形脱毛症につながる可能性もあるため、専門家による治療も検討する必要があるでしょう。円形脱毛症の治療には育毛剤等を使って治療を試みるのが手軽ですが、血行改善剤、抗アレルギー薬などを内服して治療することもあります。また、脱毛したところに副腎皮質ホルモン(ステロイド)を局所注射や塗布して治療する方法もあります。円形脱毛症には治療のガイドラインが存在し、症状によって治療方法の選択がされることが標準化されています。皮膚疾患の一つとされる円形脱毛症の治療には、専門医の治療・指導を受けることが重要です。

  • ウィッグの着用
    脱毛症に気がつくと、まだ脱毛範囲が小さかったとしても、少なからずショックを受ける人が多いでしょう。特に急激に進行することもある円形脱毛症の場合はなおさらです。一時的なケアであっても、確実に脱毛をカバーできるという意味では、ウィッグや帽子の有用性は明らか。着用することで、精神的な不安を取り除くことも大切です。


■ストレスと脱毛の関係とは?


ストレスが交感神経の異常を引き起こし、結果として円形脱毛症を誘発する可能性があるということを上で述べました。そのほかにもストレスは思わぬ形で毛髪に影響を及ぼすことがあります。それがトリコチロマニー(トリコチロマニア)と呼ばれる症状です。これは自分の髪や眉毛を無自覚に抜いてしまう、いわゆる自傷行為のようなもの。人は過剰なストレスから逃れようと、このような行動に出ると考えられています。本人も無意識のうちにしていることなので、ある日突然髪や眉毛が薄くなっている自分の姿を見て愕然とする人もいるようです。受験などに対して過度な期待をされる子供にもみられることがあります。

環境が急激に変化するときには、必ずどこかにひずみが起きます。誰でも新しい環境に飛び込むと不安を感じるものです。ストレスで毛が抜けるなんて自分はなんて心が弱い人間だと自責の念にかられる必要はありません。そうした反応は当たり前で、むしろ自然なことなのです。目に見えないだけに軽視されやすいのですが、ストレスは我々の心身を蝕む大きな要因になると考えましょう。


■まとめ


はっきりとした原因が解明されていない円形脱毛症も、ストレスが原因とされるトリコチロマニーも、多くの人に起こり得るもので、さまざまな要因が重なって発症する可能性があります。しかも、その症例は増えつつあるといいます。これはいったい何を意味しているのでしょうか。円形脱毛症の増加は、単に個人の問題だけではなく、社会全体が抱える大きな問題だと受け取ったほうがいいのかもしれません。



初回記事公開日 : 2015年6月25日

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