カミわざ

倉田医師インタビュー: 男性型脱毛症が治せる時代に vol.2

赤色LED光照射による治療や細胞大量培養による毛髪移植にも期待


薬剤による治療を追いかけるようにして、他の物理的あるいは再生医学的な知見を生かした治療法も進歩し、治療の選択肢も増えてきた。そのひとつとして倉田氏が注目するのは、特殊な赤色LED光照射による発毛促進だ

「赤色LEDを毛乳頭細胞に当てると、いくつかの細胞増殖因子が誘導されて、その因子が毛母細胞の活性化につながるというわけです。LEDライトはすでに一般化しており、レーザーなどよりも安全性が高い。今のところ副作用も認められず、他の治療法を阻害することもありません。光照射だけで完璧ということにはなりませんが、薬剤の塗布・服用など他の治療法と組み合わせれば、総合的に効果が高まることは十分期待できます」

さらに倉田氏は、自分の毛包細胞を培養して増殖させ、それを患部に移植する毛包再生医療の今後の進展にも注目している。

「現状の植毛は、毛周期が活発に行われている場所の毛を、そうでないところに移植するもの。臓器移植と基本的には同じです。ただ、これはひとつの毛包からひとつの毛包しかつくれないので、増毛効果には限度があります。しかし、細胞を大量培養することができれば、飛躍的に治療効果は高まるはず。大量培養はすでに動物実験ではうまくいっているようですが、人への応用は研究段階です。とはいえ、それほど遠くない将来に実現できるのではないかと、私は考えています」と倉田氏は言う。


Vol.3
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初回記事公開日 :  2016年3月25日